とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~


バンパイア達が居るという事はタイタンもこの小さな島国に目を付けたという事だろう。



アルテミスは小さく鼻を鳴らし、暫くその様子を眺める。



…邪魔だな…



目的はベルセルクの子供だが、軽く叩いて敵勢力を減らせばいい。



鬱陶しいが考えように寄っては好都合だ。



次第に数を増したコウモリ達が一点に集まりつつあるのが見てとれた。



アルテミスは弧を描くように両腕を動かし、手の平を天に掲げた。



そしてその手に出現した愛槍を掴むと、ビュン…!とひと振りする。



アルテミスの気配にやっと気付いたコウモリがまるで真っ黒な大蛇のように群れを成した。



…来るがいい…返り討ちにしてくれるっ!



彼が構えたと同時に大蛇が牙を剥いた。



だがアルテミスは動じず、向かって来る大蛇を見据え充分に引き付けてからやっと槍で一閃を引いた。



─キィィィィィ……!!



一瞬で数千のコウモリが灰と化した。



…なんと醜い奴等だ…



頭をもがれた大蛇は直ぐにまた再生し、第二波を繰り出す。



アルテミスの一閃が再び大蛇の頭を灰にした。



それでもまだ向かって来るその愚かさを彼は忌々しく思った。



『…無駄だ!!使い魔よ、我を誰だと思って居る!!』



アルテミスの声に大蛇の動きがピタッと止まった。



< 422 / 469 >

この作品をシェア

pagetop