とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
リネンを抱えて部屋を出ていく彼女を追う。
「…何なの!?仕事に戻りなさいよ!」
「なぁ、俺マズイ事言ったか?」
「マズイ事って?」
業務用エレベーターにさっさと乗り込むしのぶに続いて身を滑り込ませ、後から来た従業員に「次にして」と言ってドアを閉めた。
しのぶはその行動に眉を寄せる。
「例えば…その…“好きだ”とか言ったか?」
「…だったら何?」
7階でエレベーターが止まると彼女は降りて廊下をすたすたと歩いて行く。
「…忘れて欲しい…」
しのぶはその言葉にピタリと足を止め、何か言いたげに開き掛けた口を閉じた。
そして、スイートルームに入って行くとリネンを下ろして「…何故?」と聞いた。