とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「…お前、そういう関係を望んでないだろ?」
「私が?…それはあなたじゃないの?」
無駄のない動きでてきぱきとシーツを張り替えていく。
「俺は…お前と一緒に居れれば…」
「なにそれ…答えになってないわよ。」
田所を睨んでバスルームに移動する。
彼は彼女の腕を掴んで壁に押し付けた。
「じゃあ聞くけど、アレが本心だって言ったら…お前どうする?」
「…えっ…何言って…」
「答えろよ。…じゃないとここで押し倒すぞ…」
「……あぁ~…それはちょっと待ってくれ。」
場違いな声が聞こえて二人は「えっ!?」と振り返る。
申し訳なさそうに銀髪を掻くと、彼は二人の前を横切って洗面台の脇に置き忘れた携帯の手に取った。
「…えっと…どうぞ続けて。」
「「………」」
そして、出ていこうとした彼は再び二人を振り返り言った。
「夕方には戻るから、それまでに“事”は済ませてね?」
「じゃあ」と出ていく彼を見送って二人は顔を見合わせて笑った。