とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「…その女性ってどんな人?」
「褐色の肌をした…ロングヘアーの女性でした。…多分、日本人ではないと思います。」
右京はピクリと眉を動かすと忍の耳元で囁いた。
「…“アスタロト”だ。」
…“アスタロト”!?
聞き覚えのある名に忍はハッとする。
「他に変わった事は?」
「私の彼女が…ちょっと変なんです。」
褐色の肌をした女性…つまりアスタロトを見た直後辺りから、まるで別人のようだったと田所は言う。
「ぼんやりして、突然消えたかと思うと“710号室”の前に居るんです。」
「“710号室”って…この部屋!?」
思わずブルッと身震いをした忍に右京は「大丈夫だよ」と微笑んだ。