とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



ぽかぽかと忍に殴られながら右京は地図を広げる。



そして、小さくため息を漏らした。



右京の納得がいかない理由は幾つかある。



まず、意外と起伏が激しい事と階段が多いこの地形だ。



もしも身重の忍が躓きでもしたらと思うとヒヤヒヤする。



最大の理由がもう一つ。



「…なんだって京都なんだ…」



結婚式は両親の居る日本で挙げたいという忍の希望に右京も相違は無かった。



だが、何も新婚旅行まで日本国内がいいなんて…。



海外でもいいのに…と不満気な右京に忍はこう言った。



「中学の時思ったの。右京と修学旅行で行きたかったな~って…」



そんな可愛い事を言われたら“嫌だ、止めよう”なんて言えるはずない。



「とりあえずチェックインを先にしよう。」



そうね…と当たり前の様に歩き出す忍を「待て」と引き留めた。



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