とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
…直接マルバスに聞いてみるか…。
独り考え込む右京のシャツを忍が引っ張った。
「ねぇ、右京…」
「嫌だ。」
「…まだ何も言ってないじゃない!」
「忍の考えてる事なんかお見通しだよ。」
指先で彼女の額を弾くとフンッと鼻を鳴らしてパーティー会場へと足を向けた。
「いいじゃない!…一泊延ばそう?」
「い や だ !」
「折角間近でテリーが見れるチャンスなのに…」
…なぁ~にがチャンスだよ!
「忍は俺とビリー、どっちがいいわけ!?」
「だから!ビリーじゃなくてテリーだって何回言えば覚えるのよ!」
「んなの知るか!」
とりあえず不愉快だが、忍のお願いを却下するほど甲斐性なしではない。
「今回だけだからな!」と言う彼に忍は抱き付いて喜んだ。