とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



…直接マルバスに聞いてみるか…。



独り考え込む右京のシャツを忍が引っ張った。



「ねぇ、右京…」



「嫌だ。」



「…まだ何も言ってないじゃない!」



「忍の考えてる事なんかお見通しだよ。」



指先で彼女の額を弾くとフンッと鼻を鳴らしてパーティー会場へと足を向けた。



「いいじゃない!…一泊延ばそう?」



「い や だ !」



「折角間近でテリーが見れるチャンスなのに…」



…なぁ~にがチャンスだよ!



「忍は俺とビリー、どっちがいいわけ!?」



「だから!ビリーじゃなくてテリーだって何回言えば覚えるのよ!」



「んなの知るか!」



とりあえず不愉快だが、忍のお願いを却下するほど甲斐性なしではない。



「今回だけだからな!」と言う彼に忍は抱き付いて喜んだ。



< 51 / 469 >

この作品をシェア

pagetop