とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
右京はポケットから携帯端末を取り出し、発信器の位置を確認した。
…動いてる…。
パーティー会場から徐々に離れていくポインターを見てフッと笑った。
「田所さん…あなたの“しのぶ”は少しお仕置きが必要かもしれない…」
右京の言葉に驚愕の表情をした彼に「大丈夫。」と囁いた。
「ちょっと“追い出す”だけだから。」
「“追い出す”…?」
だが、右京がその会場から一歩も動く気配は無かった。
しばらくすると、彼の元に長い黒髪の小柄な男がやって来た。
「右京様…」
「あぁ、済んだか?」
「はい。ですが…」
何かを耳打ちしていたが田所には聞き取れなかった。