とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「…あれ?潤君?」
「忍さま。お加減はよろしいようですね。」
微笑んで忍のお腹に手を当てると右京が「触るな!」と潤の手を叩き落とした。
「…ケチ…」
「や か ま し い !」
右京は潤の胸ぐらを掴んで引き寄せる。
「…忍の傍を離れるなよ?」
「…御意…」
右京は潤から手を放すと田所に目で「行くぞ。」と合図をした。
「右京…どこ行くのかしら…」
「“連れション”じゃないですか?…それより何か食べましょう。」
さぁさぁと忍は背を押され、人混みに紛れていった。
田所はそれを気にしつつ、慌てて右京の後を追う。
「…彼は?」
「忍の護衛。」
…もしかしたら、この男はマフィア…?
一瞬そんな考えが頭を過るのだった。