とある堕天使のモノガタリⅤ ~TRINITAS~



しのぶを凝視すると、口元から何か噴き出している。



「…なんだ…?」



「…田所さん…俺を信じるか?」



突然そう問いかける右京に田所は眉を寄せた。



「俺を、信じるか?」



右京は田所の目を真っ直ぐ見据え、声のトーンを強めた。



…目が…紅い…!?



ゴクリと唾を飲むと彼は頷いた。



「よし。…じゃあ、彼女の首を締めろ。」



「えっ!?な、何を言ってんだ!出来るわけないじゃないか!」



右京は「やれやれ」とため息をつくと、横たわるしのぶの腹を思いっきり踏みつけた。



止めろと言い掛けて彼はその言葉を飲み込む。



何故なら、しのぶの口元からどす黒い何かがブワッと噴き出したからだ。


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