とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
残されたしのぶを右京は覗き込んだ。
「…どうする?休んでく?」
「いえ…!だ、大丈夫です!」
むしろ右京と二人きりのこの空間に耐えられそうに無かった。
…無理!…イケメン過ぎて無理!
右京は「あら、そう」とキョトンとすると、彼女をフワリと抱き抱えた。
「く、黒崎様!?」
「何?別に何もしないよ。俺所帯持ちだし。」
クスクスと笑いながら廊下に出ると、レストスペースに彼女を下ろした。
「客の部屋に二人きりはマズイっしょ?」
…あぁ、なるほど…。
「…ありがとうございます…」
「礼はいいから。」
「でも…」
納得いかなそうなしのぶを見て右京は「じゃあ…」と口開いた。
「ルームクリーニング…頼んでいい?…うちの奥さんが戻って来る前に。」
見惚れるほどの笑顔にしのぶは気付けば「はい!」と即答していた。