とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『今、宿泊客のほとんどがパーティー会場に集まってるらしいから、この隙に部屋に行っちゃって!』
イギリスほどではないが、日本でもファンに遭遇したら騒ぎになりかねない。
数名のホテルマンが出迎える中、真っ直ぐエレベーターホールに向かう。
二基あるうちの一基は最上階の11階にあり、もう一基は7階から降りて来るところだ。
やっと1階に降りて来たエレベーターの扉が開く。
が、そこから降りて来た人物を見て一同が一瞬目を奪われた。
銀色の髪…グリーンの瞳…スラリと長い足…。
完璧なその容姿に視線が釘付けになる。
『『『………』』』
『………』
彼はといえば、思いっきり不機嫌な表情を見せ、無言でアダムの脇をすり抜けた。
『…わぉ…超クール…!』
テリーがそう呟くのが聞こえたが、アダムは無視してエレベーターに乗り込んだ。
『さっきの彼、モデルかなんかかな~』
『さぁね。』
そう答えてアダムは一人ニヤリと笑った。