とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
…おかしい…。
右京は彼女がここに居たのには絶対に理由があると睨んでいた。
にも関わらず、それらしい痕跡が何もないのだ。
…ここじゃないのか?
そう考えてすぐに否定する。
…絶対に何か見逃してる。
ベットの上で足を組んで考える。
…もし、自分だったら?
ベルセルクの子供を手中に収める事が目的だとすれば、忍を操るのが一番手っ取り早い。
…何故それをしなかった?
右京達に直接手を下す事は自分との契約に反するからだ。
…直接…手を下さない方法は…?
ふと、田所の言葉が脳裏に浮かんだ。
“…気が付くと710号室の前に居るんです…”
「…部屋の…前に…」
右京は立ち上がり、入口に移動して真っ直ぐ目を向けた。