とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
丁度バスルームから出て来た忍が右京に気付き、「…なにしてるの?」と問いかけた。
右京は人差し指を挙げ、忍を黙らせるとゆっくり歩く。
…正面には…ベランダ…。
窓ガラスに自分姿が映る。
「…“鏡”…」
忍は右京の顔と窓ガラスを交互に見つめ、首を傾げた。
「忍。…ちょっとここに立ってみて。」
「うん?」
右京は彼女の頭から腹部へと視線を移す。
窓ガラスに映った忍の前に、花瓶が見えた。
「…花瓶…」
「…ねぇもういい?…何かお腹が張るんだ…」
「あぁ、いいよ。…大丈夫?」
「少し疲れただけよ。」
そう言って笑う忍をフワリと抱き上げ寝室へと連れて行くと、ベットにそっと下ろした。