とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
部屋のベルが聞こえて右京は振り返った。
「アイスクリームが来たんじゃない?」
「えっちな事に使うアイスクリームか。」
忍は右京に枕をぶつけてクスクスと笑う。
扉の前には居たのは田所だった。
「ルームサービスをお持ちしました。」
「ありがとう。…あのさ、この花瓶片付けて。」
「花瓶…ですか?」
「そう。7階にある花瓶全部。」
「全部!?」
有無を言わせない右京の眼差しに田所は「…かしこまりました…」とため息を付いた。
「そういえば例の件ですが、“1107”でした。」
「“1107”…角部屋か…。ありがとう、助かったよ。」
「いえ。それより…」
田所はちょっと右京に顔を近付け、声を潜ませた。
「…このアイスクリーム…どうやって使うんです?」
右京はぷっと吹き出す。
そして、こっそり“それ”の使い方を伝授すると、酷く納得して帰っていくのだった。