とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「どうした!?…痛いのか!?」
「えっ…?…あ、平気だ…」
あれほど激しかった痛みは嘘のように消えていた。
だが、魘されていたらしく、全身から噴き出した汗で寝間着までぐっしょりだった。
右京はキュッと忍を抱きしめ、ヨシヨシと髪を撫でる。
その大きな手に安心して暫し身を預け目を閉じた。
忍が無意識に庇うように抱いていたお腹を右京が上から撫でる。
…貴方のママもパパも、こんなに愛してる事を忘れないで…。
「大丈夫…お前もこの子も守るから…」
「ん…信じてる。」
自分達を包む空気が優しい…。
…そうか…右京が傍に居るから…。
まるで彼の翼に包まれているような…そんな気がした。