とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
『…さてはシノブに拒まれたか…』
『だからお前と一緒にすんなっつーの!』
『冗談だよ。…で、なんだって黒魔術を?』
『実は問題が起きてね…』
右京の話を聞きながら、ニックは顎髭に手を当てて部屋をうろうろと歩き回る。
『…つまり、アスタロトの目的は忍だっていうのか?』
『あぁ、おそらく。…正確にはお腹の子だろうけど…』
アスタロトは人を操るのが得意だ。
だが、接触せずに操るのは不可能に近い。
『アスタロトがどうやって忍を操ろうとしてるのかが知りたい。』
『なるほどね…それで“黒魔術”か。』
『そう。で、例えばなんだが…』
そう言って右京は自分の立てた仮説を口にした。