とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
ポーン…という音と共に開いた扉の向こうにはキッチリとスーツを着こなした金髪の男性が居た。
彼の視線を感じながら、右京は無言でエレベーターに乗り込む。
『君…フランス人?』
『…いや?』
怪訝そうに彼を一瞥してすぐ背を向ける。
『…ねぇ…モデルとか興味ない?』
『ない。』
『…もし良かったら…話だけでも…』
…うぜーな…。
食い下がってくる金髪に右京は“話しかけるな”というオーラ丸出しで睨む。
一階に到着したエレベーターを降り、ロビーを見渡す。
このホテルは構造上、一階が吹き抜けになっている為、天井は遠い。
上を見上げた彼は、自分を呼ぶ声に視線を戻した。