とある堕天使のモノガタリⅤ
~TRINITAS~
「なにしてんの、忍…。」
「退屈だからお散歩!…あ、潤君と一緒だよ。」
「はい、ワタクシがついてますのでご心配には及びません。」
…面白くない…。
忍と仲良く“散歩”を楽しむ悪魔を嫉妬心剥き出しで睨む。
「忍様?右京様は色々とやらなきゃいけない事があるようですし…ワタクシとお茶でもしましょうか。」
右京を逆撫でするような台詞は明らかにわざとだろう。
潤は忍の肩を抱いて右京の脇をすり抜けようとした。
「…待て、こら。」
「いたっ!…何するんですか…」
彼の綺麗に束ねられた黒髪を掴むと藍色の瞳がギロっと動いた。
「…お前、おちょくってんのか?」
「…間違った事は申し上げておりませんが?」
全くその通りで言い返せないのが余計に腹立たしい。