君へ、約束の歌を。<実話元>
「なに陸部魂って…(笑)
オレ走るの苦手なんだよね〜」
『喘息の発作起きないように、ほどほどにねっ。
じゃあいくよ〜!
よーい…どんっ!』
声と同時にストップウォッチのデジタル数字が目紛しく動き出して、祐ちゃんがスタートする。
祐ちゃんの走っていく後ろ姿を見ていた、
その時――…
「ねー今の聞いた?
自分のこと、オレだって!」
……!?
耳に飛び込んで来たその声に急いで振り返ると、二人の女の子。
祐ちゃんの方やお互いを見ながら話してるから、私が見てることには気付いてない。
その二人は、学年の中でも派手で目立ってる子達だった。
髪の毛は自毛なんていえないくらい茶色だし、ばっちりメイクもしてる。
普段、制服のスカートも切っててすごく短い…
そんな子達。
「聞いた聞いた!
なんで女なのに、オレって言ってんだろーね」
…やめて。