君へ、約束の歌を。<実話元>
並んで体育館に向かってる時にも、体育館に着いて腰を下ろした時にも、あちこちでいろんな声が聞こえてきた。
「緊急集会なんて初めてだよねー。
いい話か悪い話か…」
「いい話って雰囲気ではなくない?」
「そうだよね…
もしかして、誰かが死んじゃったとか?!」
「え〜!まさかぁ〜!」
冗談混じりに予想する、声。
…私も、まさかそれはないでしょって思った。
でも壁際に立ち並んでいる先生達はみんな神妙な顔で俯いていて、そこから漂ってくる異様な雰囲気が体育館を暗くしてる。
…教頭先生が静かに舞台に上って、
中央に立った。
普段とはまったく違う張り詰められた空気に、みんな一斉に、静かになる。
…マイクを持った教頭先生が、
ゆっくりと口を開いた。
「――…先日の、5月5日…、
…白石祐さんが、
――…亡くなりました…」
周りの音が、一瞬、
すべて止まった気がした。