君へ、約束の歌を。<実話元>
え…??
…今、なんて…??
「白石祐さんは…陸上部で…」
祐ちゃんを思い返すように、
振り返るように語る先生の声。
嘘、でしょ…?
「非常に優秀な投擲の選手で…」
嘘だ。
「…明るく…頑張りやでした…」
嘘だ。
嘘だ。
嘘だ。
過去形の言葉が、
私を追い詰めていく。
頭の中が真っ白になる感覚を、
初めて味わった。
受け止められない、
受け止めたくない目の前の現実に、
吐き気がする。
先生の言葉は、
もうそれ以上頭に入ってこなかった。
ただ「なんで…?」っていう言葉ばっかりが、頭の中をぐるぐる廻り始めていて。
――…涙は、出ない。
何度も何度も、
これは夢だって自分に言い聞かせた。