君へ、約束の歌を。<実話元>
「…教室に戻りなさい」
―――…限界、だった。
貧血の時みたいに意識が一瞬、
すぅっ…ってなくなって。
気付いたら、硬く冷たい体育館の床に、
崩れ落ちて座り込んでた。
…泣きたくなかった。
泣いたら、祐ちゃんの死が現実だって
認めるみたいで、
嫌だから。
泣きたくなかったのに…
『――…ぅ…っ…』
何かがぷちって切れて、
涙が溢れて止まらない。
周りなんて、全然気にならなかった。
…みんなが、ぞろぞろと体育館を出て行く足音は聞こえてたけど立ち上がれない。
「愛璃……大丈夫?」
未来が側に来て声を掛けてくれたけど、
私の声は鳴咽で言葉にならない。
涙も止まらなくてひどい状態だったから、先生に連れられて、保健室に行った。