君へ、約束の歌を。<実話元>


私もみんなと同じように床に腰を下ろして俯く。


みんなの目線も、なんとなく俯きがち。



「祐ちゃんがいないなんて…
信じらんないね…」



ぽつりと一人が零した言葉に、
またじわっと涙が滲む。



「まだ、いるみたいだもん…」


「ほんと…
部活に普通に来そうだよね」



みんなも涙を堪えているからか鼻声。





…みんなとそうして言葉を交わしていく中で、私は知らなかった祐ちゃんの自殺のいきさつを知っていった。










…5月5日。


ゴールデンウイークの最終日、夕方。



祐ちゃんは本屋に行くと言って家を出て…



二度と帰って来なかった。




帰りが遅いのを心配した家族にかかってきたのは、警察からの電話。


部屋からは、発見された遺書。



…祐ちゃんは、












ビルの14階から飛び降りていた。





祐ちゃんの顔は全然傷がついてなくて、
きれいだったそうだ。





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