君へ、約束の歌を。<実話元>
祐ちゃんの家を出て、
マンションの下で輪になる。
「ほんとに亜美が…?」
「わかんないけど…
祐ちゃんとケンカ気味だったのは、ほんとでしょ?」
「その、クラスでいじめてたって子も誰なんだろうね」
「愛璃ちゃん、これからはうちら5人で固まってよう?
亜美、部活来るかわかんないけど」
『…ありがとう』
今まで、基本的に3人と4人に分かれちゃってた陸部メンバーが、こんなことがあって、1年の時みたいに固まるなんてね…
なんだか悲しい。
「明日の試合、行く…?」
「わかんない…やる気出ないしね…」
みんなとそんなことを話しながら、分かれ道まで来て。
『じゃあ…またね』
「うん、また」
「ばいばーい」
家に着くと、そのまま部屋に駆け込んで、床にしゃがみ込む。
…ずっと、胸につかえていた、気持ち。
『ごめんね…』
無意識にぽつりと口から出た言葉で、自分が伝えたいことが何なのか、
やっとわかった。
同時に涙が止まらない。
『ごめん、ごめんね…気付けなくて…』
後は鳴咽で、
言葉にならなかった。