君へ、約束の歌を。<実話元>
普通の声になるように努めたけど、
震えてるのを感じ取ったのか…
海ちゃんは、そっと抱き寄せてくれた。
「辛かったね…」
私は、
誰かにこんな風に言ってほしかったのかもしれない。
涙腺が、緩む。
「我慢しなくていいからさっ。
…競技前に、思いっっ切り泣いてすっきりしちゃえ!」
明るく言い切ってくれた海ちゃんの言葉に、
抑えてた涙が、ぽろっと零れた。
『…――う〜っ…っ…』
海ちゃんが、あやすように背中をぽんぽんっと叩いてくれて。
海ちゃんの肩越しに見えた窓の外には、
綺麗な青い空と…飛行機雲。
そういえば、これも同じだ。
Dedicated to youの歌詞と。
飛行機雲、一緒に見たよね、祐ちゃん…
そう思いながら、目を伏せた。
ぽつぽつ来始めた選手達の視線をちょっと感じながら。
少しの間だけ、
海ちゃんの優しさに甘えさせてもらったんだ――…