君へ、約束の歌を。<実話元>
鈍感、なんてよく言われるけどそんな言葉じゃ済まされない…
「…それとね、愛璃ちゃん」
今まで黙ってた一人が、
言いにくそうに言葉を紡いだ。
「中心になって祐ちゃんをいじめてたって噂の、8組のもう一人は、
…千代らしいよ」
『えっ!?』
…愕然とした。
千代(チヨ)は、小学校の頃からの友達で、
私とも祐ちゃんとも仲がいい子。
そんな千代が、なんで…?
嘘でしょ…?
私は、これ以上ここにいるなんてできなくて。
部活をやる気力もない。
ただ、一人になりたかった。
『ごめん、私、今日は帰るね…』
ゆっくり立ち上がると、荷物を取る。
「愛璃ごめん、急にこんな話して…」
「…大丈夫?顔色悪いよ…」
みんな心配そうに私を見る。
そのみんなの優しさに気が回る程、私の頭は正常に働いていなかった。
『ううん、話してくれてありがと…
早退するから先生に…』
「うん、わかった。言っとくから」
『よろしくね…』