君へ、約束の歌を。<実話元>
卒業してないから当たり前だって、
頭では理解してても。
心はついていかない。
…祐ちゃんの写真がないこと。
一人一人アップで写ってるクラスのページの写真はもちろん、授業風景とか校外学習の時とかの写真にも、まったく祐ちゃんは写ってなくて。
ちらっと見切れてる写真すらないことに、
祐ちゃんはこの学校にいなかったんだよって言われてるみたいで。
無性に腹がたった。
ちょっとくらい載せてくれたっていいのに。
部活の集合写真にも、
祐ちゃんは写ってない。
もし2年の終わり頃にこの集合写真を撮ってたら、学校側はどうしてたんだろう…
なんて、皮肉なことを思い浮かべてみたりした。
…フレームに収まる想いなんて、誰も抱えていないのに。
写真という形でその“瞬間”が残るのは、
その“瞬間”で時を止めるのは、
目に見える姿形だけじゃなくてその時の気持ちまでもが、写真に閉じ込められる気がする。
…だんだん、周りが静かになってきた。
ページをめくるパタン…って音が、
徐々に消えて。
『ん…??』
なんでだろう?と見回してみると、ほとんどの人が卒業アルバムじゃなくて、揃って同じくらいの大きさの紙を見つめてる。
何人かの目が潤んでるのは、私の気のせいじゃない。