君へ、約束の歌を。<実話元>
「向こうの砂場でやってるのが走り幅跳びで、こっちでやってるのが短距離のスタート練習」
部長が指差すその先には、どこでも先輩達が一生懸命練習してる姿。
部長が紹介する度に、私達は部長の指の先を目で追って。
次に部長が指し示した選手、
それは――…
「あそこで練習してるのが、
砲丸投げの選手」
『――…!?』
…泣くかと思った。
姿が
影が
重なる。
「愛璃、どうかした?」
大きく息を呑んだ私に、
隣の彩紀が声を掛けてくれる。
『…何でもない、大丈夫…』
ほんとは全然大丈夫なんかじゃなくて。
ここで泣くわけにはいかないから、
歯を食いしばった。
祐ちゃんみたいに短い髪、
がっしりした体格、
綺麗なフォーム…