君へ、約束の歌を。<実話元>
《愛璃ちゃん、上手くなってきたねー!》
あの時の祐ちゃんの声が、
今でも聞こえてくるような気がして。
何も変わってないその場所が、
空気が、
嬉しかった。
祐ちゃん…
あの日の景色は、
今も、ここにあるよ
いつも通ってる道なのに、こんな風にいきなり感傷的になったのは、今日の朝に原因がある。
――…朝、いつものように駅に着いてホームに下りた私は、いつも乗ってる車両の位置まで、人を避けて歩いていた。
…と、途中、どこかで見たなぁって女の子と擦れ違って。
そのまま歩きながら記憶を引っ張り出してたら、突然その子をなんで知ってるかっていう答えにぶち当たって。
慌てて振り返った。
ちょうどその子はベンチに腰を下ろしてて、横顔がはっきりと見える。
――…祐ちゃんの、砲丸投げ友達だった。