君へ、約束の歌を。<実話元>



《愛璃ちゃん、上手くなってきたねー!》



あの時の祐ちゃんの声が、

今でも聞こえてくるような気がして。



何も変わってないその場所が、

空気が、


嬉しかった。







  祐ちゃん…


  あの日の景色は、


  今も、ここにあるよ










いつも通ってる道なのに、こんな風にいきなり感傷的になったのは、今日の朝に原因がある。




――…朝、いつものように駅に着いてホームに下りた私は、いつも乗ってる車両の位置まで、人を避けて歩いていた。


…と、途中、どこかで見たなぁって女の子と擦れ違って。


そのまま歩きながら記憶を引っ張り出してたら、突然その子をなんで知ってるかっていう答えにぶち当たって。


慌てて振り返った。


ちょうどその子はベンチに腰を下ろしてて、横顔がはっきりと見える。



――…祐ちゃんの、砲丸投げ友達だった。



< 197 / 287 >

この作品をシェア

pagetop