君へ、約束の歌を。<実話元>
お母さんに聞けば知ってるかもしれないけど…
陸部見学したら砲丸投げ選手が祐ちゃんに見えて泣きそうになった、ってことを話した時の、お母さんの瞳が忘れられない。
私を、哀れむのとは違う…
怒るのでもない…
哀しそうな、瞳。
辛そうな、瞳。
…聞けないよ。
祐ちゃんのことに、お母さんはちょっと敏感になってる気がする。
…悪い意味じゃなく。
私に気を使ってるっていうか、心配してくれてるのは、すごくよくわかる。
…だから余計に、なるべく祐ちゃんの名前は出さないようにしてた。
心配かけたくないから。
自殺のシーンが出てくるドラマとかでは、なんだか泣いちゃいけないような気がした。
私がもし泣いたら、お母さんは私が祐ちゃんのことを思い出して泣いてるって思うかもしれないって考えて。
…お母さんに重荷を背負わせたくなかったから。
これは、私自身が解決しなきゃいけない問題だから。
…祐ちゃんのお墓には、行けない。