君へ、約束の歌を。<実話元>
私にとっては長かったけど、その曲は早々と終わって、次の子にマイクを渡した。
――ふぅ〜っ…
周りに気付かれないように、
そっと深呼吸。
もう大丈夫…大丈夫…
自分に言い聞かせると、気持ちを無理矢理切り替えてみんなの空気の中に戻った。
…メドレーも終わって、またしばらく一人一曲好きな歌を入れてると。
〜♪〜♪〜♪〜
『えっ…!?』
また、あの曲。
一番端に座ってる子がマイクを握りながら言った。
「私この曲好きなんだ〜!」
「あたしも!いいよね〜!」
「うちも好き♪」
周りの子も盛り上がる。
きっと、大丈夫…大丈夫…
そう言い聞かせると、画面を見つめる。
…でも、
「〜♪〜♪〜♪〜」
たとえ、アーティスト本人の歌声じゃなくても。
メロディーが、歌詞が。
封印したハズの記憶を思い出させる。