君へ、約束の歌を。<実話元>
勝手に、甦ってくる。
〜♪〜♪〜♪〜
…ゆっくりと目の前を運ばれて行く棺。
〜♪〜♪〜♪〜
《…祐〜〜っ!!
なんで…なんでっ…!!》
〜♪〜♪〜♪〜
…祐ちゃんの名前を何度も何度も繰り返し呼ぶ、家族の悲しみに満ちた声。
〜♪〜♪〜♪〜
胸を突き上げてくる、
とてつもなく大きな痛み――…
部屋いっぱいに広がる音色に、
いつかの残像がリンクする。
…もう、聞いてられなくて。
――ガタッ…!
「愛璃?」
『…ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね』
彩紀にそう言い置いて、部屋を出た。
トイレには誰もいなくて、
洗面所の側の壁に背中を預ける。
『ごめん、ごめんなさい…』
人が歌ってる途中で席を立って部屋を出るなんて失礼だし、したくなかった。
でも、自分があそこまであの曲がダメだなんて思わなくて。
――フラッシュバック…
って言うのかな、こういうの。
…やっぱりまだ、時間がかかるみたい。