君へ、約束の歌を。<実話元>
なんとか気持ちを落ち着かせると、
部屋に戻った。
――ガチャ…
「あっ!おかえりー」
『ごめんね〜ただいま!』
もう歌い終わってた子は、
全然いいよ〜って笑ってくれた。
自分の席に戻ると、彩紀が曲が載ってる本を私の方に差し出して。
「愛璃、これ歌えるっ?」
『ん〜どれどれ?…あっ歌えるよ〜』
「おっ♪じゃあ歌って〜!
愛璃の歌声で聞いてみたい!」
…笑顔を向けてくれてるみんなに、本当のことが話せるわけもない。
話すべき話じゃない。
その笑顔を、曇らせてしまうから。
突然、『実は…』って話し出せる状況なんてあるわけもないし。
過去の話って、重ければ重い程、
話せない。
私は祐ちゃんのことを、誰にも話せずに自分の中で消化してくしかないんだ…