君へ、約束の歌を。<実話元>
とうとう巡って来た、3度目のこの日。
…私には、心に決めていたことがあった。
『…よしっ』
――…ぱたんっ
文集を閉じて、本棚に戻す。
――ガチャッ…
部屋を出て、ダイニングに入って。
『…お母さん、』
ダイニングのテーブルについてるお母さんに声を掛けた。
「ん?どうしたの?」
お母さんが私を見つめる。
目が合うと、言葉が詰まった。
言おうと思っていたことは、
喉の奥で止まってしまって。
…私が今から言うことは、
きっとこの目を曇らせてしまう。
悲しませてしまうかもしれない。
『ぇっと…』
私が、聞きたいこと。
教えてほしいこと。
『あの、ね…』
−祐ちゃんのお墓って、
どこにあるの…?−
そこは、今までずっと行けなかった場所。
私は、あの時からお墓の場所を聞くに聞けなくて、知らないままだった。