君へ、約束の歌を。<実話元>
当時大人同士で色々話し合ってたお母さんなら。
知ってるんじゃないかって、
思ったの。
3年経った今、
あの時と同じ“最高学年”で、
“受験生”って立場。
あの時よりも強くなって。
あの時よりも現実を受け止められるようになったハズ。
だから、今なら――…
行けるかもしれない。
――…だけど、
だけど、
『…ううん、何でもない』
…聞けないよ。
口から出たのは、行きたかった場所をまた遠退かせる言葉。
私がまだ引きずってるってこと、
お母さんは心配するかもしれない。
…あれから3年間、祐ちゃんの話が出たことは一度もなかった。
もう、あの時みたいに。
心配はかけたくないから。
「え?何か用があったんじゃないの?」
不思議そうに首をかしげるお母さんに。
『本当に何でもないから…
気にしないで』
やっぱり、思い出させるようなことは言えなかった。