君へ、約束の歌を。<実話元>


少し頬の力を緩めてみせると、
背を向けて。


自分の部屋に戻った。





――ガチャッ…



『今年も、やっぱり行けないや…』



部屋の窓から見えた青空に引き寄せられるように、ベランダに出る。




…もう、3年経ったんだ。


そう思ったら、
なんだか無性に切なくなって。


感傷的になったりして。



お墓に行かない分、ここで、
祈りを。







…祐ちゃん、


もしもし

私の声は聞こえますか?


祐ちゃんが今いる場所…


どこかはわからないけど。



そっちの空は青いですか?


白い雲は浮かんでますか?


こっちは今、
とってもいい天気です。


白い雲が青空にとけるかのように、
綺麗な空が広がってます。



君の存在は、

私の中ではすごく大きいのに。


どれだけ存在が大きい人がこの世界からいなくなっても、


この空の色は変わらない。


この空の広さは変わらない。



< 256 / 287 >

この作品をシェア

pagetop