君へ、約束の歌を。<実話元>
さっき戻した文集に手を触れてそのまま左へ滑らせると、現れたのは。
奥にしまい込んでいた、一冊のノート。
手の平くらいの大きさのそのノートには、中学の時に部活で参加した陸上教室での記録が書かれてる。
もうずっと、
このノートを開くことはなかった。
…ノートの最後のページに挟んでた写真。
『うわぁ…懐かしい…』
忘れてた。
こんな写真撮ったこと。
陸上部のメンバー全員で、
競技場の前で集合した写真。
人数がすごく多いから、
一人一人の顔は小さいけど。
…でも、わかる。
笑顔の祐ちゃんの隣で。
私も、笑ってる。
祐ちゃんを見ると切ない気持ちになるのは3年前と変わらないけど。
少しずつ、少しずつ。
笑顔で祐ちゃんのこと、
思い出せるといいな。
遠い遠い未来の私、
例えば10年後の私は、
君のことを思い出してる時に、
ちゃんと笑えてますか…?