君へ、約束の歌を。<実話元>
友華に言われて初めて、握りしめてるプリントの無機質な文字が、ぼやけてることに気付いた。
『え?あ、ごめん。何でもない…
ちょっとコンタクトの調子悪いみたいで』
友華に微笑んでみせると、
プリントを鞄の中にしまった。
もし、
3年前にこのプリントが配られてたら。
もしかしたらちょっとは何かが変わってたのかもしれない。
考えてみたってわからないけど。
その思いは、
頭から消えてくれなかった。
<いじめ>
その境界線は、
いじめられてるって
感じる子にとっては、
色濃くはっきりと、
その存在が地面に線を引いていて。
いじめてる本人にとっては、
色薄くぼんやりと、
その存在は地面に溶け込んで
見えない。
認識の違いから、
心に届く距離も違うんだと思う。