君へ、約束の歌を。<実話元>
『〜♪〜…♪〜……』
そっと、口ずさんでみる。
とぎれとぎれに紡ぐ、
w-inds.の「Dedicated to you」
――…ぽとり
涙が一粒、零れて落ちた。
…私には、
やらなきゃいけないこと、
行かなきゃいけない場所がある。
――…ぱたんっ
想いを振り切るように、
定期入れを閉じた。
部屋を出ると、
大きく深呼吸をして、
リビングのドアを開けて。
『…お母さん、』
向き合ってみせるよ。
もう、逃げない。
『連れてってほしい所があるんだけど…』
もう、逃げないから。