君へ、約束の歌を。<実話元>
私と亜美は、外からの職員室の入口に立った。
『失礼しまぁす…』
ゆっくり扉を開け、靴を脱いで中に入る。
先生達もほとんどいない職員室を、
そっと見回すと…
『いない、ね…』
顧問の先生はいなかった。
…代わりに、
「愛璃と亜美、こんな時間にどうしたんだ?
しかも私服で…」
私達の前に立ったのは、宮田先生。
若い男の先生で、かっこいいし授業も面白いからみんなに人気がある。
先生は議員会を仕切っていて、私は議員をずっと務めているからお世話になっている。
うちの学校は室長とかではなくて、クラスの男子一人・女子一人が議員というクラス代表につく制度で、私は宮田先生と授業以外でも話す機会が多かった。
「とりあえず、私服で校舎入っちゃダメだから出ろ」
先生に半ば肩を押されるようにして、
私達は外に出た。