君へ、約束の歌を。<実話元>
「…わかった。
時間は気にしなくていいから。
…いってらっしゃい」
お母さんの優しい言葉に送り出されて。
私は、
大切な友達が眠る場所へ向かった――…
――ジャリッ…
歩く度に、足元で擦れる小石がたてる音だけが響く。
私が望んだ通り、
今、ここには私しかいない。
神聖な雰囲気に包まれて、
淋しいような不思議な気分。
『はぁ…』
なんだか、緊張してきた。
手袋をしてないから、
花束を持つ手がキリキリ痛む。
歩みを進めながら、空を見上げてみた。
…白。
はっきりした雲はなくて、
少し曇ってるような…
寒さを感じさせる、
いかにも冬って感じの空。
吹いてきた冷たい風に身を震わせると、
また前を見据えた。
―――…
『ここ…?』
やっと、辿り着いた。