君へ、約束の歌を。<実話元>
今、私の歌声は、
ちゃんと君に届いてる…?
『…♪〜…♪…』
――ぽろっ…
堪え切れずに溢れた涙。
下を向けば、地面にぽつんと、
小さな染みをつくる。
祐ちゃんの声が、鮮やかに蘇ってきて。
込み上げてきて。
零れた涙は、
外気にあてられてすぐに冷たくなった。
『…え?』
その涙とは、別の冷たさを頬に感じて、
びっくりした。
『雪…??』
空から、ちらちらと小さな雪。
…空も涙を零してるみたいに。
『こういうの、風花っていうんだっけ…』
冬の始めに降る雪。
手に落ちても、すぐ溶けてしまう。
儚さや淡さが、
ゆっくりと胸に染みていった。
…そっと、立ち上がる。
たくさんじゃなくて、
うっすらと降ってくる風花。
祐ちゃんが応えてくれてるような、
気がした。