君へ、約束の歌を。<実話元>
まだ疑問顔の私に、先生が詳しい説明をしてくれた。
「三種競技に出てみないか?
三種競技ってのは、100m走・走り高跳び・砲丸投げの三つの種目の記録の合計得点を競うものだ。
夏野は短距離と高跳びができるから、砲丸投げを練習して出てみないかと思ってな」
『はぁ…』
適当に相槌を打ちながら、おもしろそう!って思う反面、砲丸なんてまず持てるのか…?っていう不安。
「どうする?
やるなら大会申し込んどくぞ」
『(早速大会って早っ…!でも…)
…はい、やってみます!』
砲丸投げなんて、高校でまた陸部に入るとかしない限り、絶対やる機会ないし。
覚悟を決めた私を前に、先生は周りに視線を投げて、ある人物を手招きして呼んだ。
「…おい、白石!ちょっと来てくれ!」
水飲み場にいた祐ちゃんが、何で呼ばれたんだろ?って顔で私の隣に並んで、先生と目を合わせる。
先生が私と祐ちゃんを交互に見ながら、口を開いた。