君へ、約束の歌を。<実話元>
…私、夏野愛璃(ナツノ アイリ)。
今日で中学1年生になる。
この物語の記憶の持ち主…
なんて言い方はかっこつけてるけど、
実際は、
絶対に忘れたくない記憶があるってだけの、
ただの泣き虫なんだ――…
「おはよう!愛璃ちゃん」
『おはよう、若葉ちゃん!』
並んで歩きながら校舎の方へ。
『今年こそ、
同じクラスになれるといいね〜!』
そう言った私に、若葉ちゃんも、だね!と返してくれた。
木下若葉(キノシタ ワカバ)ちゃん。
幼稚園の頃からの友達で、いつも明るくてしっかりしてる子。
年長の時に同じクラスになったのを最後に、小学校では6年間見事に一度も同じクラスになれなくて。
今年こそ!と期待を込めてる。