君へ、約束の歌を。<実話元>
いつもと違って、元気がない。
反応がない。
『どうしたの〜?』
ちょっと沈黙の後、祐ちゃんはタオルに手をあてたまま、絞り出すような声の調子で言った。
「…県大会には行けるけど、失敗しちゃった」
『県大会行けるなら、よかったじゃん!
何位だったの…?』
「…4位」
1位じゃないってことにびっくりしたのは、本当。
…だけど。
『4位でも十分スゴイよ!
…先生に何か言われたとか?』
「まぁ…ちょっと。
でもそうじゃなくて…」
祐ちゃんは、ぽつぽつと話してくれた。
「なーんか納得いくように投げれんかったんだ…。
…1位狙ってたのに、すっげー悔しい」
私は、何て言ってあげればいいのかわからなかった。
言葉にどれだけ気持ちを乗せても、うすっぺらいものにしかならない気がしたから。
『…またいっぱい練習して、県大会で納得いくようにすればいいんだよ!』
表情の見えない、タオルの向こうの祐ちゃんに私なりに声を掛けた。