君へ、約束の歌を。<実話元>
校舎の近くで配られてる、クラス分けが書かれた紙。
それぞれもらって、どきどきしながら覗き込むと…
『あぁ〜また違うクラスだね…』
「ほんとだ…」
2人、がっかりと肩を落としたけど、気を取り直して人波に付いて教室へと足を進ませる。
がやがやと騒がしい人声は、やっぱりどこか期待や不安を含んだ、この季節独特の雰囲気で。
新しい場所、新しい友達、新しい日々。
今までとは違う景色が鮮やかに目に映る。
『同じクラスになるのはまた来年に期待、だね』
「だね〜来年こそ!」
一年なんて、きっとあっという間。
『…そういえば、部活何にするか決めた?』
「ううん、まだ。愛璃ちゃんは?」
『私も全然決めてないんだよね〜』
中学校の部活って、小学校と比べるとすごく厳しい感じのイメージ。
一年経っただけだけど、日々を重ねる毎に周りの環境は変わる。
一日だってまったく同じ日なんてものは存在しなくて、
ゆっくり、確実に進んでいってる。
…若葉ちゃんといろいろ話をしながら足を進めていたら、
いつの間にか教室に着いていた。
『ここ、だよね』
「そうみたいだね…
私の教室はもっと向こうみたい」
『そっか…じゃあまたね〜!』
「うん!またね」
若葉ちゃんと別れると、教室の扉にそっと手をかけた。
――ガラッ…
新しい場所、新しい友達。
新しい日々が、始まる。