君へ、約束の歌を。<実話元>
「じゃあ〜…
全部聞きたいから、
今度一緒にカラオケ行こー♪
んで、この曲歌って!」
突然の祐ちゃんからの提案。
びっくりしたけど嬉しくて。
『…うんっ!
その時に、この曲全部歌うから聞いてね!
約束!』
「うん!
じゃあ今はとりあえず何か別の歌って〜!」
『えっと〜……』
―約束…―
約束なんて、
人間は
簡単にできてしまうもの。
難しいのは、それを守れるか…
なんだ。
…またセミの声が聞こえなくなった静かな空気の中、オレンジ色の光に包まれて。
囁くような小さな声で、いろんな歌を歌った。
ぽつり、と祐ちゃんが呟く。
「いつも思ってたけど…
愛璃ちゃんの歌、なんか癒される。
歌声がキレイっていうか…
オレすごい好き!」
にっこり笑った祐ちゃんに、
私も自然に笑顔になる。