君へ、約束の歌を。<実話元>
『祐ちゃん…
そんなすごいことじゃなくても…
大人になっても、一緒にカラオケとか行こう!?』
「まぁそうなんだけどさ〜。
期待しとくよ、愛璃ちゃんが歌手になるの」
『なれないって〜』
苦笑いしながら目線を先に飛ばすと、夕日をバックにやっと駅が見えてきた。
祐ちゃんが思い出したように、私に聞く。
「そういえば愛璃ちゃんは、ピアニストになりたいんだっけ?」
『え…?』
あ〜…あの同窓会の時の。
覚えててくれてたんだ。
『ん〜…わかんない。
正直めっちゃなりたい!って感じじゃなくなってて…
将来の夢は、まだ未定かな』
「そうなんだ?
…じゃあ夢候補に歌手とか女優とかも入れといてよ♪」
『いやいや、だからね…』
そんな会話をしつつ、あることにふと気付いて、ねぇねぇ!と祐ちゃんの方に勢いよく向き直る。