君へ、約束の歌を。<実話元>
半ば呟くように落とした言葉は、
祐ちゃんによって拾われて。
「あぁ〜愛璃ちゃん、めっちゃ頭いい大学行きそう!
A大学とか!」
『…はっ!?A大学!?絶対無理!
行きたいって考えたこともないし』
A大学は県外だから、もし万が一行くとしたら、一人暮らしになる。
っていうかそれ以前に自分のレベルと合わないってわかってるし、真剣に考えたことなかった。
「愛璃ちゃん、行ってよ!
友達に自慢するから♪」
「それいい!」
祐ちゃんが私の肩を叩きながら言って、
亜美も笑いながら頷いた。
高校とか、大学とか、まだ実感としては迫ってこない未来について、想像していろんなことを喋って。
ぽつりと、祐ちゃんが零した。
「まぁ…とりあえず高校なんだよね〜。
考えなきゃいけないのは」
『ね〜…』
先輩はあそこの高校に行ってるらしいとかどこの高校が陸上部が強いかとか、情報交換みたいに話してると。
「陸部集合〜!!練習始めるぞ〜っ!!」
部長が大きな声で号令を掛けたのを合図に、それぞれの練習メニューへと向かい始める。