君だけが好き!
お腹が、頬が、喉が痛い。
「ごめんなさ……お母さ、痛いよ……」
心が、イタイ。
私が言葉を紡ごうとしているあいだにも、躊躇なく母の暴力は続く。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「死ね!死ね!お前なんか死ねばいいんだっ!!」
次の日、聡は私に会うなり目を丸くしていた。
「お前、そのケガなんだよ」
私はぶたれすぎて変色していた右の頬にガーゼを当てていた。
他にも、見えないところにたくさん包帯を巻いている。
「転んだだけ。聡は気にしないで」
「気にするに決まってんだろ!」
声から、聡の表情から、彼が本気で怒っているのが分かった。
「お母さんに、やられたんだろ。俺が昨日、遅くまで直斗と遊んじゃったから」
「違う!聡のせいじゃないよ」
友達になってまだ一日目なのに、聡は昨日よりもよそよそしかった。
やっぱり、私が家庭のことを話してしまったからかな。
放課後になっても、聡の態度は変わらなかった。
五時間目に返ってきた算数のテストが思ったよりよかったから、聡に見せたら、「すごいな、うん」と返ってきた。
……あんな話し、しなければよかった。